illust_kaihen.jpg

イラストを制作・リース(レンタル)する立場になると、
単に「著作権をどう扱うか」という話だけでは片づかない場面が増えてきます。

たとえば「改変はどこまで許されるのか?」という問題は、
同一性保持権という人格権の扱いと深く関わっています。

同一性保持権は、著作者人格権の一つとして
「著作者の意に反して作品の内容が変更されたり、切除されたり、歪曲されたりしないように主張できる権利」です。

レンタルイラストの場合、レンタルサービスを提供する側の契約書に「著作者人格権の行使をしない」と書かれることが多いですが、これは実務上の便宜と法律上の扱いが混ざった“習慣”であり、何でも自由に改変できるわけではないという点を理解する必要があります。


同一性保持権と実務

まず最初に、お伝えしておかないといけないが、
著作権法律的には、著作者人格権は譲渡できないということ。

したがって「著作者人格権を行使しない」という合意があっても、同一性保持権そのものが法的に消えるわけではありません。
不行使の合意は可能ですが、その範囲を明確に合意しておくことが大切です。

たとえば以下のような改変は、単なる編集や加工の範囲を超える可能性があります↓

  • モチーフそのものの意図や構図を変える大幅な編集
  • 色味・キャラクター性を阻害する加工編集
  • 元のコンセプトを混乱させる画像の合成

依頼者によっては「トリミングや細かい色変更はOK、でも構図は変えないでほしい」など、線引きを最初に明確にしておかないと、後でトラブルになります。


レンタルイラストならではの注意点

レンタルイラストは、わかりやすく言えば「一定の使用条件で借りるイラスト」のことですが、この一定の使用条件には、簡単な加工までが条件に含まれることが多いです。

具体的にpixtaの利用規約を見てみると、
コンテンツ使用許諾契約に定められた範囲での加工が認められています。

ダウンロードしたコンテンツは、以下の範囲での加工が許可されます。ただし、いずれの場合も、利用規約に定める禁止行為に抵触しない範囲に限ります。

<画像素材>
トリミング、反転、サイズ変更、色変更、文字乗せ、簡単な合成などが可能です。
https://pixta.jp/terms より引用

社会通念上、軽微な改変と言われる程度のことであれば、問題はなさそうです。
ただ、上記規約の「など」にどこまで含まれるのかがあいまいなので、どこまでやっていいのかが不明で、実務では、軽微かな?と思うような改変も行われているのが実情です。

「Adobe stockで購入したリースポジの女の子の顔ちょっと怖かったんで、
黒目大きくしてもらって顔のライン修正したいんですけど!」

とか、

「この20代女性イラストのテイストで、40代の女性イラスト作れる?」

kaihen2.png

rentalillust.png

みたいなことは、実務上は頻繁にあります。
ちなみにクリエイター側のコンテンツ提供契約には、加工を自由に施すことを承諾とあります。

クリエイター会員は、購入者等が、コンテンツに加工を自由に施すことを承諾し、コンテンツの使用にあたりコピーライト表示(クレジット表示)又はこの非表示等を求めないものとします。その他、著作者人格権を行使せず、また第三者をして行使させないことに同意します。
https://pixta.jp/terms より引用

クリエイター側は基本的には何をされても文句言えないようになっているようです。
ベクターで配布している素材に関しては、ある程度の改変は承知の上だとは思うのですが、「なんでもあり」というのは少しモヤモヤしてしまいますね。

以前X(旧twitter)でアンケートを取ったところ以下のような結果が得られました。

 

https://x.com/HIRO_KAMIJOH/status/1111607872679346176

「確認はいらない」という人が多い結果にはなったものの、確認が欲しいという人も少なくない結果となりました。

私は一定の範囲は問題ないと思いつつ、過度な改変については確認欲しいな…と思っていたのですが、要らないという人も多くて驚きました。

そもそも、クリエイター名であったり、コンタクトが可能な導線がレンタルサービスサイト側で用意されていないことも多いので、確認の取りようがないよね、という意見もありました。

そうなると、AさんのイラストにBさんのイラストのパーツを移植~みたいな改変もあり得るわけですが、極論クリエイター側は、「嫌だったら辞めればいい」という札を持っているので使用の態様によっては、作品を取り下げれば良いのかもしれません。

私自身、イラストレーターとして素材を提供する立場である一方、クリエイティブディレクター/デザイナーとしては利用者でもあります。
双方の立場を知るからこそ、改変の範囲や利用ルールを改めて意識しながら、気持ちよく使える環境を大切にしていきたいところです。

 

この記事をシェア

From Our Blog